クリニックを開業する際には、多額の設備資金や運転資金が必要です。その資金調達をどのように行うかが、成功のカギを握ります。ここでは、クリニック開業に使える主な融資の種類と、それぞれの特徴について解説します。
クリニック開業の際にまず検討すべき融資先は、日本政策金融公庫です。設備資金の融資上限は7,200万円、運転資金は4,800万円まで可能であり、基本的に低金利で固定金利のため、開業資金のサポートとして非常に有利です。
日本政策金融公庫の特徴として、運転資金の返済期間が7年、設備資金の返済期間が20年と比較的長いため、資金返済の負担が軽減されます。また、2年以内の据え置き期間が設定可能で、この間は利息のみの返済で済むため、開業初期の負担も抑えられます。ただし、審査には時間がかかるため、早めに準備を進めることが大切です。
大手銀行や地方銀行といった民間の金融機関も融資の選択肢に入ります。特にクリニックの開業地に密着した地方銀行を利用するのがおすすめです。地方銀行は、融資に加え、ビジネスサポートやスタッフの研修といった付帯サービスを提供することが多く、開業時の様々な準備を助けてくれます。
また、地方銀行は大手銀行よりも審査に通りやすく、金利も低い傾向にあるため、クリニック開業時には特に利用しやすい融資先と言えます。これらの特性をうまく活用し、スムーズに資金調達を進めましょう。
医師会や地方自治体もクリニック開業を支援するための融資を提供しています。医師会では、開業支援ローンが用意されており、設備資金や運転資金の借入が可能ですが、医師会への加入が条件となります。
また、地方自治体は「制度融資」を提供しており、信用保証料を支払うことで金利優遇などのメリットを受けられます。制度融資を検討する場合は、開業予定地の地方自治体と連携している金融機関に相談することが必要です。
福祉医療機構やリース企業からも融資を受けることができます。福祉医療機構の融資は、特に診療所不足地域での開業に対して優遇される場合があり、開業予定地がこの条件に該当するかを確認することが重要です。
リース企業は、審査が早く、融資と同時に医療機器のリースを提供することが特徴です。ただし、金利が高いため、利用する際には慎重に検討する必要があります。
クリニック開業後に追加で融資を受けることは、基本的に難しいとされています。金融機関にとって、開業後の融資は「経営が困難である」と捉えられやすく、信頼が得にくいためです。そのため、開業前に必要な資金を十分に確保し、計画的に準備することが重要です。
銀行融資を受ける際には、希望融資額を満額で受け取れるとは限らないため、計画に柔軟性を持たせることが大切です。また、土地や物件の契約が完了していないと融資申請ができないため、開業までのスケジュール管理も非常に重要です。事業計画を事前にしっかりと作成し、準備を整えておきましょう。
クリニック開業における融資の選択肢は多岐にわたり、それぞれに特徴やメリットがあります。どの融資を選ぶかは、開業地や必要なサポートに応じて異なるため、自分に合った融資先を見極めることが大切です。慎重に計画を立て、信頼できる金融機関と連携して、スムーズな開業を目指しましょう。
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