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筑後市のクリニック開業事情

筑後市の医療需要の
将来性について

筑後市では今後、総人口は緩やかに減少する一方、高齢者、とりわけ75歳以上の人口が増加する見込みです。そのため、人口減少が続く中でも医療需要は中長期的に現在を上回る水準で推移すると予測されます。

日本医師会が運営する地域医療情報システム(JMAP)によると、筑後市の人口は2020年時点で48,827人です。将来推計では2025年に48,508人、2030年に47,852人、2045年には44,816人、2050年には43,534人まで緩やかに減少すると見込まれています。

一方、JMAPが示す年齢別人口と医療需要の算定方法をもとに計算すると、2020年を100とした医療需要は2025年に約104、2030年に約106、2045年にも約106となります。総人口は減少するものの、高齢者人口の増加によって受療需要が補われるため、長期的にも一定の医療ニーズが維持されると考えられます。

筑後市でクリニックを利用する
主な年代について

筑後市では2020年時点で65歳以上の人口が13,362人となっています。今後も高齢者人口は増加し、2030年には14,116人、2045年には15,273人まで増えると予測されています。

特に75歳以上の後期高齢者人口は、2020年の6,663人から2025年には7,833人、2030年には8,467人、2045年には8,790人まで増加する見込みです。2050年には9,212人となり、2020年と比較すると約1.4倍に増加します。

こうした人口構成の変化を踏まえると、内科や循環器内科、整形外科などの慢性疾患に対応する診療科に加え、在宅医療や介護サービスと連携した診療に対する需要が高まると考えられます。

一方、0~14歳の年少人口は2020年の7,103人から2030年には6,354人、2045年には5,804人まで減少する見込みです。小児科で開業する際には、現在の人口だけでなく、将来的な子どもの人口や既存医院との競合状況を確認する必要があります。

筑後市で競合性の高い診療科目

地域医療情報システム(JMAP)の掲載情報によると、筑後市には一般診療所が42施設あり、人口10万人あたり86.02施設となっています。全国平均の70.32施設を上回っており、人口規模に対してクリニックが比較的多い地域です。

診療科目別では、内科系・外科系・小児科系が全国平均を上回っています。

特に小児科系は全国平均を大きく上回っています。今後は年少人口の減少も予測されているため、小児科で新規開業する場合は、一般的な小児診療だけでなく、専門領域や診療対象を明確にして既存医院との差別化を図ることが重要でしょう。

一方、産婦人科系や眼科系、耳鼻咽喉科系、精神科系は全国平均を下回っています。皮膚科系は全国平均とほぼ同程度です。

ただし、施設数が全国平均を下回っていることだけで開業余地があるとは判断できません。筑後市は八女市・広川町と同じ八女・筑後医療圏を形成しているほか、久留米市やみやま市などへの移動も可能です。周辺自治体の医療機関まで含めた診療圏調査を行うことが重要です。

筑後市で活躍している医師数

地域医療情報システム(JMAP)の集計によると、筑後市の医療機関で勤務する常勤医師数は88人です。

人口10万人あたりでは180.23人となっており、全国平均の256.98人を下回っています。また、市内には病院が2施設あり、病院病床数は416床となっています。

筑後市内には、地域医療支援病院である筑後市立病院と、内科・精神科などを診療する植田病院があります。クリニックを開業する際には、外来での日常的な診療を担いつつ、精密検査や入院治療が必要になった患者を地域の病院へつなぐ病診連携も意識しておきたいところです。

筑後市は「外来医師多数区域」に
含まれている

筑後市でクリニックを開業する際に確認しておきたいのが、福岡県の外来医療計画です。筑後市・八女市・広川町で構成される「八女・筑後医療圏」は、外来医師多数区域に指定されています。

福岡県では、外来医師多数区域で無床診療所を新規開業する場合、原則として地域で不足している外来医療機能を担うことを求めています。また、新規開業にあたっては「新規開業に伴う外来医療提供等報告書」の提出が必要です。

そのため筑後市で開業を検討する際には、診療圏や競合医院の調査に加えて、夜間・休日の初期救急、在宅医療、公衆衛生など、地域で不足する医療機能にどのように対応できるかについても検討しておく必要があります。

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筑後市のエリア事情

筑後市は筑後平野の中央に位置し、市中央部をJR鹿児島本線、九州新幹線、国道209号が南北に通り、国道442号が東西に通っています。市域は比較的コンパクトですが、羽犬塚駅を中心とした市街地から筑後船小屋駅周辺、西牟田などの住宅地域まで、エリアによって交通手段や生活圏が異なります。

羽犬塚駅・山ノ井エリア

JR羽犬塚駅周辺は、鉄道・バス・幹線道路が集まり、市役所や医療機関、商業施設などの都市機能が集積する筑後市の中心市街地です。筑後市では駅周辺を「市の玄関口」と位置付け、駅前広場の再編や周辺の公共空間整備などを進めています。

公共交通を利用する患者を取り込みやすく、駅周辺でのテナント型開業なども検討しやすいエリアです。一方で既存クリニックも集まりやすいため、専門性や診療時間、WEB予約などによる通院利便性の向上が差別化のポイントとなります。

長浜・前津エリア

市中央部から北部にかけての長浜・前津周辺は、国道209号や国道442号などを利用した自動車移動との相性が良いエリアです。住宅地だけでなく、幹線道路沿いには商業・サービス施設なども立地しています。

車で通院する患者を想定したクリニックでは、駐車場の台数や道路からの視認性、生活動線上で立ち寄りやすいかといった条件が重要です。実際に前津ではドラッグストア併設型のクリニック開業物件も展開されており、ロードサイド型の開業候補地として検討できます。

筑後船小屋駅周辺エリア

市南部にある筑後船小屋駅には、JR鹿児島本線と九州新幹線が乗り入れています。九州新幹線を利用すれば博多駅まで約24分でアクセスでき、筑後市では県南地域の玄関口として位置付けています。

羽犬塚駅周辺とは異なる広域交通拠点であり、周辺住民だけでなく広いエリアからの来院を想定できる立地でもあります。ただし、クリニック開業では駅利用者の数だけでなく、周辺の居住人口や自動車でのアクセス、競合医院までの距離などを踏まえて診療圏を設定することが重要です。

西牟田エリア

市北西部の西牟田にはJR西牟田駅があり、周辺には住宅地が広がっています。また、内科や精神科などを診療する植田病院も立地しており、市中心部とは異なる医療・生活圏が形成されています。

地域密着型のクリニックを開業する場合は、近隣住民の日常的な受診需要を把握するとともに、既存病院との役割分担や高齢者が継続して通院しやすい立地を考慮するとよいでしょう。今後の高齢者人口増加を踏まえれば、在宅医療や介護との連携も選択肢となります。

筑後市のクリニック開業事例

筑後市で近年開業したクリニックの事例を紹介します。筑後市では人口規模に対して小児科系の診療所が多いため、同じ小児領域でも専門性を明確にした開業事例は、競合との差別化を考える際の参考になります。

きつきこども発達クリニック

「きつきこども発達クリニック」は、2024年5月に筑後市山ノ井で開業した、子どもの発達障害を専門に診療するクリニックです。自閉スペクトラム症やADHD、限局性学習症など、子どもの発達に関する相談や診療に対応しています。

JR羽犬塚駅から徒歩5分、八女インターチェンジから約1.8kmの場所にあり、駐車場も完備しているため、鉄道利用と自動車利用の双方を想定できる立地となっています。

筑後市では人口10万人あたりの小児科系診療所数が全国平均を大きく上回っていますが、同院は一般的な小児診療ではなく「こどもの発達外来」に特化しています。競合性の高い診療科でも、専門領域を明確にして地域の特定ニーズに対応するという開業方法を考えるうえで参考になる事例です。

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